IBMがOpenStackシフト、OracleがNimblaを買収など

掲載者:CUPA総合アドバイザー 新野 淳一

3月はIBMがOpenStackへのシフトを宣言、BigSwitchが国内本格参入、OracleがNimbla買収を発表するなど、地味ながらも今後のクラウド市場に長期的な影響を与えそうな大事なニュースが並びました。Publickeyの記事から動向をまとめました。

IBMがOpenStackシフトを宣言

「IBM today announced that all of its cloud services and software will be based on an open cloud architecture.」(IBMは、自社のすべてのクラウドサービスとソフトウェアが今後オープンなクラウドアーキテクチャに基づくものになることを発表する)-プレスリリースの冒頭より。

IBMは3月4日、ラスベガスで開催した同社のプライベートイベント「Pulse」において、同社のクラウドサービスやソフトウェアが(プレスリリースのタイトルにあるように)事実上すべてオープンソースベースになることを発表しました。IBMはその第一弾として、OpenStackをベースにしたプライベートクラウド基盤ソフトウェアを提供するとしています。プレスリリースから引用。

As the first step, the company today unveiled a new private cloud offering based on the open sourced OpenStack software that significantly speeds and simplifies managing an enterprise-grade cloud. Now, for the first time, businesses have a core set of open source-based technologies to build enterprise-class cloud services that can be ported across hybrid cloud environments.

第一弾として、当社は本日、オープンソースのOpenStackソフトウェアを基盤とした新しいプライベートクラウドの提供を発表します。エンタープライズ対応のクラウドで迅速かつシンプルな管理を実現するものです。これにより今日初めて、企業はオープンソースをコアとしたエンタープライズ対応のクラウドサービス構築が可能になり、しかもハイブリッド環境との互換性も実現されます。

このソフトウェアは「IBM SmartCloud Orchestrator」という名称です。

Software-Defined NetworkベンチャーのBig Switch Networksが日本へ本格参入

3月6日、ソフトウェアでネットワークの構成を自由に定義できるSoftware-Defined Network分野の新興ベンダー、米Big Switch Networksが日本市場への本格参入を発表しました。伊藤忠テクノソリューションズとネットワンシステムズが国内代理店となります。

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(左から)伊藤忠テクノソリューションズ 取締役兼常務執行役員 櫻庭愼一郎氏、米Big Switch Networks CEO Guido Appenzeller氏、ネットワンシステムズ 執行役員 篠浦文彦氏。

Big Switch Networksが国内で展開するのは、昨年11月に米国で発表した製品群で、OpenFlowプロトコル経由でOpenFlow対応のスイッチやルータなどの物理的な機器やソフトウェアスイッチなどの制御に対応しています。

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その制御を行うのが製品群の中心となる「Big Network Controller」。オープンソースのOpenFlowコントローラであるFloodlightをコアにした製品です。そのコントローラの上で、仮想ネットワークを構成するための「Big Virtual Switch」と、ネットワークのモニタリングなどができる「Big Tap」の2つのアプリケーションが用意されています。

Cloud FoundryがPivotalへ移管。4月にはAmazonクラウドへのデプロイを簡単にしたTeam Editionを正式リリースへ

VMwareとEMCが共同で、Greenplum、Spring、Cloud Foundryなどのミドルウェアを扱う組織「Pivotal Initiative」を設立すると発表したのが昨年12月。責任者は元VMware CEOのポール・マリッツ氏。そして3月7日付けで、オープンソースのPaaS基盤ソフトウェアであるCloud FoundryがPivotalに移管したことがブログで発表されました。この発表を行ったブログの記事「Cloud Foundry is Open and Pivotal」では、外部開発者の協力を求めてCloud Foundryがオープンな開発を行っていることを改めて強調しています。オープンを示す動きの1つとして、Cloud Foundryは今年1月からロードマップの公開を始めています。現時点でのロードマップでは4月にTeam Editionの正式リリースを予定。この時点で、外部からのリクエストを受けるRouter、Cloud Foundry全体を制御するCloud Controller、アプリケーションの実行基盤となるDEA、データベース系サービスを主に支えるServiceなど主要な内部コンポーネントがアップデートされるほか、管理のためのWebポータルも装備。またCloud FoundryをAmazonクラウドへデプロイする方法も容易になる予定となっています。

オラクル、クラウド基盤ソフトのNimbula買収を発表。自社製品にクラウド機能を統合へ

米Nimbulaは、元Amazonクラウドのエンジニアなどが中心となってIaaS型クラウド基盤を実現するソフトウェア「Nimbula Director」などを提供してきた新興企業です。オラクルは3月13日、Nimbulaの買収を発表しました。

Nimbula’s technology helps companies manage infrastructure resources to deliver service, quality and availability, as well as workloads in private and hybrid cloud environments. Nimbula’s product is complementary to Oracle, and is expected to be integrated with Oracle’s cloud offerings.

Nimbulaのテクノロジーはプライベートクラウドやハイブリッドクラウド環境において、企業のインフラリソースを管理し、サービスの品質、可用性、ワークロードの提供を支援します。Nimula製品群はオラクル製品と補完関係にあり、オラクルのクラウド提供製品群と統合される予定です。

オラクルは仮想化ハイパーバイザとしてXenをベースとしたOracleVMを提供していますが、それらをクラウドへとまとめ上げるIaaS基盤ソフトウェア、例えばOpenStackやCloudStack、あるいはVMwareのvCloud Directorなどに該当するソフトウェアは手薄でした。もともとオラクルはプライベートクラウド、パブリッククラウドに対して積極的なソフトウェアの製品展開を示してこなかったことがその理由で、オラクルのプライベートクラウドといえば、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたアプライアンス製品のことを指していました。Nimbulaの買収はこのクラウド基盤ソフトウェアの部分を補強することになり、オラクルが発表文で主張するように、補完関係であることは明白です。これによってオラクルはOpenStackやCloudStackのようなクラウド基盤ソフトウェア市場に参入することになるのか、あるいはアプライアンス製品の中に組み込むことで既存製品を強化するのかは、今年後半に予定されている製品統合の行方を見てみないと分かりません。

VMware、Nicira製品を「VMware NSX」としてvCloud製品群に統合、今年後半リリース

VMwareのPat Gelsinger CEOは3月13日、投資家向けの説明会で2013年の戦略を発表。戦略の柱としてSoftware-Defined Datacenterの実現、ハイブリッドクラウドの提供、マルチデバイスへの対応の3つを挙げたうえで、昨年買収したNicira製品を同社のvCloud製品群に統合し、「VMware NSX」という名称で今年後半にリリースすると発表しました。

Today, the company revealed its intentions to merge the VMware vCloud Networking and Security™ product line with the Nicira Network Virtualization Platform (NVP) into a single product family based on a common technology foundation, to be named VMware NSX.

本日、当社はVMware vCloud Networking and Security製品とNicira Virtualization Platform(NVP)を統合し、共通の基本技術基盤を持つ1つの製品群とする意向であることを発表します。名称は「VMware NSX」となる予定です。

VMware NSXはVMwareのハイパーバイザだけでなく他社のハイパーバイザにも対応し、ネットワーク仮想化などを実現するとのこと。