SDN/OpenFlowで変わるベンダー市場

掲載者:CUPA総合アドバイザー 林 雅之

2013年4月15日から17日までカリフォルニア州サンタクララでONF主催の「Open Networking Summit 2013」が開催され、SDN/OpenFlowの関連市場は活況です。

これまでのSDN/OpenFlow関連の取り組みをベンダーの動きを中心に整理をしてみたいと思います。

VMwareは2012年7月23日、Niciraを買収することを発表しました。買収総額は、約10億5000万ドルで、VMwareにとっては過去最大の買収となり、Niciraの買収は、VMwareのクラウド戦略において重要な位置づけとなっています。

Niciraの中核商品は、2011年7月に発表した「Nicira NVP(Network Virtualization Platform)」です。VMwareは、Niciraを買収することで、すべてのインフラを自動化し仮想化されてサービスとして提供されるSoftware Defined Datacenterの推進を加速し、これまでのターゲットを拡大させ、エコシステムにも注力することで、さらなる事業の拡大を目指しています。

SDN/OpenFlowの市場では、米ビッグ・スイッチ・ネットワークス、国内ではベンチャーのミドクラ、IIJとACCESSとの合弁会社ストラトスフィアなどの新興企業やNTTデータなどが、SDN/OpenFlowベースとした各種ソリューションを提供しています。

既存の大手機器ベンダーでは、NECやCisco、JuniperなどがSDN/OpenFlow対応機器を提供し独自の機能を実装することで囲い込みを行なっています。新興機器ベンダーではPica8などがOpenFlowに対応した低価格の機器を提供しています。

SDN/OpenFlowの普及は、ネットワーク市場の構造を大きく変え、業界の再編、オープン化を大きく推進することになるでしょう。

SDN/OpenFlowにより、ネットワーク機器のコモディティ化が進み、ネットワーク機器の低価格化、いわゆるネットワーク機器のチープ革命が進むことになります。ベンダーから機器を買わずに、台湾のODM(Original Design Manufacturing)ベンダーに機器を作らせる動きもあり、さらなる価格破壊が進む可能性もあります。SDN/OpenFlowの市場では、大学からスピンアウトしたNiciraやビッグスイッチのようなスタートアップ企業も多く、業界再編の動きを大きく促す可能性があります。ミドクラは2013年4月3日、シリーズAラウンドにおいて産業革新機構やNTTインベストメントパートナーズなどから総額1,730万ドルの増資を完了しており、今後事業を拡大させていくことになるでしょう。

独自プロトコルで提供していた既存の大手ネットワーク機器ベンダーにとっては、SDN/OpenFlowの普及は、垂直統合モデルの破壊を意味しています。パソコン型のハードウェア(仮想スイッチ)、OS(コントローラー)、アプリケーションのそれぞれのレイヤーによる水平分散型のモデルにシフトし、それぞれのレイヤーでイノベーションを生み出すためのオープン化と連携による大きな戦略転換が必要となっています。

シスコのような既存の機器ベンダーでは、SDNに上位レイヤーまで加えた領域まで拡大することで、サードパーティーを取り込み新たな市場開拓を進めています。また、NECのように積極的にOpenFlowを展開する事業者も見られ、今後OpenFlow対応機器を積極的に投入し、早期に市場シェアの獲得をする動きも見られます。

さらに、大きな動きとして米Linuxファウンデーションが2013年4月8日、SDNを実現するソフトウェア群をオープンソースソフトウェアとして開発するSDNのオープンソースプロジェクト「OpenDaylightプロジェクト」の立ち上げを発表しています。「Northband API」などの標準化も本プロジェクトで進められています。最初のコードは、2013年第3四半期中にリリースされる予定です。

本プロジェクトには、シスコ、ブロケード、シトリックス、IBM、ジュニパー、マイクロソフト、NEC、レッドハット、VMwareなどの主要企業が参加しており、各社が提供する技術や貢献内容を公開しています。たとえば、シトリックスの場合、「Apache CloudStack」に対応したOpenDaylightプラグインを開発することを表明しており、CloudStackとSDNとの連携が簡易に実現できるようになります。「OpenDaylightプロジェクト」は、SDNを中心としたオープンなエコシステムの形成を推進し、企業の本格的な普及への後押しをすることになると考えられ、この1年の動向が注目されるところです。