データセンターにおけるPOWERのチャレンジとAmazonの圧倒的シェア

掲載者:CUPA総合アドバイザー 新野 淳一

 
先月は、インテルがデータセンター内のサーバだけでなくネットワーク機器やストレージについてもインテルプロセッサで実装しようとしている動向をお伝えしました。今月は、IBMらがPowerプロセッサをデータセンターで活用しようとしている動向を紹介します。

Google、IBM、NVIDIAなどがデータセンター向けのサーバ、ストレージ、ネットワークの開発協力へ、POWERをベースに

8月6日、大規模スケールのデータセンターやクラウドのための選択肢や柔軟性を実現するため、先進的なサーバ、ネットワーク、ストレージ、GPU活用技術などを開発することを目的として、Google、IBM、NVIDIAをはじめ、Mellanox、Tyanらが協力しする「OpenPOWER Consortium」の設立を発表しました。IBMはPOWERプロセッサの知的財産をライセンスし、エコシステムの拡大を期待。まずはNVIDIAとともにPOWERプロセッサとGPUのエコシステムの統合に取り組みます。これによりIBMは、いままでオンプレミスのサーバ向けに開発されてきたPOWERプロセッサをデータセンター向けに進化させ、クラウド時代にも生き残れるプロセッサにしようと考えているはずです。一方、NVIDIAにとってもGPUの持つ高い計算能力をデータセンターで活かすための取り組みであり、自社の技術を単にグラフィック強化のためではなくデータセンターの重要な一要素と位置づけようとする戦略に沿ったものでしょう。Googleはこのコンソーシアムでどのような役割を果たすのか説明されていませんが、Googleにとって、データセンター内のサーバが事実上x86プロセッサしか選択肢がない状態から、POWERプロセッサをベースにしたサーバという選択肢を得ることができます。用途に応じた最適なサーバ選択や、市場での競合状態を作り出すことによる進化の加速といったメリットなどが得られるために参加しているのではないでしょうか。そのPOWERプロセッサを利用したIBM iシリーズのクラウドサービスを、国内でIIJが開始すると発表しています。

クラウドでIBM i(旧AS/400)のサポート開始、オフコンのディザスタリカバリも可能に。IIJ

オフコンの代名詞とも言われた旧IBM AS/400、現在のIBM iとIBM Power Systemsは、現在も多くの企業で基幹業務の基盤として稼働しています。そのPower Systems上のIBM iをクラウド上のサービス「IIJ GIO Power-iサービス」として提供することを、IIJが発表しました。プレスリリースから引用します。IIJ GIO Power-iサービスは、IBM PureFlex System(※1)上にIBM i を実装したクラウドサービスです。お客様は必要な規模の仮想サーバと接続用のネットワークをサービスメニューから選択するだけで、自社の業務規模やニーズにあった適切なシステム環境を、アセットレスかつ低コストで利用することができます。 (プレスリリースから)PureFlex Systemは、IBMが昨年リリースした、サーバ、ストレージ、ネットワークを垂直統合したシステム。IBMのプレスリリースによると、今回IIJが採用したハードウェアは今月発表されたPureFlex Systemの新製品で、POWER7+プロセッサを搭載し大規模ワークロードに適した「Flex System p460」と、エントリーレベルのワークロードに適した「Flex System p260」。新製品では、垂直統合システムとしての管理機能もクラウド向けに強化されているため、新製品の登場のタイミングに合わせてIIJがサービスの立ち上げを行ったといえそうです。IIJ GIO Power-iサービスは、基本サービスの初期費用が15万円から、月額料金が7万5000円から。最小構成はP20iグレード、2GBメモリ、140GBストレージ、i6.1/7.1 OSなど。ユーザーは既存のIBM iシステムをそのままクラウドへ移行することができ、ハードウェアやOS部分のシステム管理をアウトソースできるほか、ディザスタリカバリに利用することなどができます。

Amazonに続く2番手争いはIBM、Microsoft、Google。どこが抜け出すか?

今月最後の話題はAmazonクラウドのシェアについてです。米調査会社のSynergy Research Groupによる2013年第2四半期のデータによると、ワールドワイドのIaaS/PaaS市場においてAmazon(AWS)は圧倒的なリードを維持しています。その大きさはIBM、Microsoft、Googleの3社の合計よりも大きく、さらにそこへSalesforce.comのForce.comを加えてもさらに上回るほどの規模のようです。

以下は、Synergy Research Groupのレポートの抄訳です。

Microsoft、Google、IBMという重量級の3社は先頭のAmazonを必死に追いかけ、アグレッシブに成長してはいるが、それでもこの3社の売上げの合計はAmazon1社の売上げの63%にしかならない。これ以外はさらに小さな企業ばかりではあるが、Salesforce.comはForce.comでこの3社並の売上げとなっている。この1年で市場は47%の成長を見せているがAmazonは52%成長しており、市場全体の28%を占めている。

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本四半期のIaaS/PaaS総売上は2.25ビリオンドル(22億5000万ドル、約2250億円)で、IaaSが64%となっている。また、北米は53%、欧州・中東・アフリカ(EMEA)とアジア太平洋がそれぞれ21%、ラテンアメリカが5%。いずれの市場においても追い上げる企業に違いはあれど、Amazonが明確なリーダーである。“現実の競争は、Amazonを追い上げている企業群の中から、どこがはっきりとした2番手となれるかだ。IBMのSoftLayer買収はそれに一役買ったとはいえ、Microsoft、Googleともにまだ団子状態で似たような成長率を描いている”と、Synergy Research Groupの調査員であるJohn Dinsdale氏は分析している。