クラウドとは?

 クラウドコンピューティング(以下、クラウド)という言葉を、いろんなところで目にするようになりました。市場も大きな成長が期待されています。

 調査会社のMM総研が2015年9月に発表した「国内クラウドサービス需要動向」によると、国内のクラウド市場は2014年度7,749億円と前年度比23.8%増加して急成長を続け、企業ユーザーの新規ビジネスにおけるクラウド活用や社内既存システムのクラウド移行の持続的な需要により、2019年度には2兆円を超える市場規模に拡大すると予測しています。

 中でも新規システム導入時にクラウドで提供されるサービス(クラウドサービス)の活用を優先的に検討する「クラウドファースト」が浸透しつつあります。

 クラウドについて改めて整理をしてみたいと思います。クラウドとは、自分が使うパソコン側で情報処理を行うのではなく、インターネットの「むこう側」にある事業者が提供する巨大なコンピュータで処理を行うモデルです。

 自社の情報は、企業内にある構築・運用システムではなく、インターネットにつながるサービス提供事業者の巨大なデータセンターのコンピュータで処理され、IT資産の「保有」から、サービス提供事業者のコンピュータリソースをサービスとして「利用」するモデルとなります。

 クラウドで提供するサービスを利用するには、パソコンのウェブブラウザを立ち上げて、インターネットにアクセスできる環境さえあれば、パソコンにソフトウェアをインストールすることなく利用できます。コンセントを挿し込めば、電気が使えるように、ジャックの口にLANケーブルを差し込むといったように、インターネットにつながる環境があれば、世界中のコンピューティングリソースを利用できるようになります。

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クラウドの定義とは

 クラウドには、さまざまな考え方がありますが、ベースとなっているのは、NIST(National Institute of Standards and Technology、アメリカ国立標準技術研究所) が定義する「Definition of Cloud Computing(クラウドコンピューティングの定義)」です。NISTの定義は、クラウドを整理する上での出発点となっています。

NISTのクラウドの定義では、

 クラウドとは、自由に設定可能な共有のコンピュータリソース(ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーションサービス等)の集積に対する利便性の高い、オンデマンドベースのアクセスを可能とするモデルであって、最小限の管理努力やサービス提供者とのやり取りで、迅速な提供や回収が可能なもの

としています。

クラウドを構成する5つの要素には、

・オンデマンドベースのセルフサービス (必要な時に必要なコンピューティングモデル)
・広域ネットワークアクセス (モバイル等様々なデバイスからサービスにアクセス)
・ロケーションに依存しないリソースプール (マルチテナントで場所を意識しない)
・迅速性・柔軟性 (必要に応じてスケールアップとスケールダウン)
・計測可能なサービス (従量制で課金を行う)

 クラウドは、オンデマンドベースでセルフサービスとして利用でき、マルチデバイスで好きなところからアクセスでき、必要に応じて必要な分だけリソースのスケールアップやスケールダウン、そして利用した分だけ課金される従量制課金が主な特徴となっています。

クラウドを構成するサービスモデルには、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)

の3つのモデルがあります。

クラウドを構成する利用モデルには、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド

の4つのモデルがあります。

SaaS、IaaS、PaaS…?クラウドコンピューティングを構成する3つのサービスモデル

クラウドの3つのサービスモデルを解説します。
1つ目は、ソフトウェアの機能をネットワークを介してサービスとして提供するモデル「SaaS(サービスとしてのソフトウェア)」

2つ目は、そのサービスの開発環境や運用環境の基盤をサービスとして提供するモデル「PaaS(サービスとしてのプラットフォーム) 」

そして、3つ目は、ハードウェアやネットワークインフラをサービスとして提供するモデル「IaaS(サービスとしてのインフ4ラストラクチャ)」です。
 下の図がサービスモデル別の事業が提供する範囲となります。

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3つのクラウドサービスの概要と利用シーンを整理してみましょう。

<SaaS(Software as a Service)>
 SaaSは、情報系の電子メールやグループウェアやCRM(顧客管理のためのシステム等)があげられます。会社のパソコンだけでなく、外出先からもメールやスケジュールや営業情報などのやりとりができ、企業の事業規模に関わらず採用が進んでいます。クラウドを導入する際は、まず電子メールやグループウェアなどから検討をしてみると良いでしょう。財務会計や人事給与などの企業のコアとなるミッションクリティカルな領域にも導入が進んでいます。

<PaaS(Platform as a Service)>
 PaaSは、データベースや開発環境などのプラットフォームを提供するサービスです。例えば、独自の顧客管理システムを一から構築するには多くの時間を要しますが、PaaSの場合は開発環境やデータベースなどが整っているため、その基盤を利用することで短期間でサービスを開発し運用することができます。

<IaaS(Infrastructure as a Service)>
 IaaSは、CPUやハードウェアのリソースを提供するサービスです。たとえば、キャンペーン用のサイトを開設する場合は、短期間に膨大なアクセスが集中します。その際に、一時的にコンピュータのリソースを集中的に借りるといったように、柔軟にリソースを変更することによって、非常に低コストで安定性の高いサイトを構築運営することができます。
クラウドを構成する利用モデル
クラウドを構成する、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドの4つの利用モデルを解説します。

<パブリッククラウド>
パブリッククラウドとは、企業のファイアウォールの外側に構築される形態で、公衆のインターネット網を介して不特定多数の企業や個人ユーザーに提供されるクラウドサービスです。企業ユーザーの利用形態は、クラウドの最大の特徴である「保有」から「利用」に変わり、サービスとして導入できます。

メリットは、短期間で高機能なサービスを低コストで利用でき、運用管理の負担が少ないといったことがあげられます。利用に応じて課金される従量制課金が一般的で、繁忙期や閑散期などの利用頻度に応じて柔軟で迅速なコンピュータリソースの追加や削除が可能です。

<プライベートクラウド>
プライベートクラウドとは、顧客または提供事業者側のデータセンターに、「仮想化や標準化、自動化などクラウド技術を活用し、自社専用の環境を構築することによって、コンピュータリソースを柔軟に利用できるシステムで、企業のファイアウォール内に構築される形態です。
 メリットは、仮想化や自動化などのクラウド関連技術の活用によりパフォーマンスとコストが最適化され、カスタマイズへの柔軟性が高いことがあげられます。また、自社において運用ポリシーやサービルレベル契約(SLA)に対するコントロールができます。
 最近では、提供事業者が提供するプライベートクラウドを、ホステッドプライベートクラウド、顧客が構築運用するプライベートクラウドをオンプレミスクラウドと分けて呼ぶケースが増えています。

<コミュニティクラウド>
 コミュニティクラウドとは、共通の目的を持つ特定企業間によって形成される「コミュニティー」がデータセンターで共同運用されるシステム。プライベートクラウドとパブリッククラウドとの中間的な形態です。

<ハイブリッドクラウド>
 ハイブリッドクラウドとは、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、そしてパブリッククラウドなどを連携させて活用するシステム/サービスです。

次回は、クラウドを構成する技術について、解説していきます。